D
2019.07.10

7月10日にリリースされたDの新たなシングル『道化師のカタルシス』は、彼らの精緻な音楽表現が存分に封じ込められた作品に仕上がった。すでに先行公開されたタイトル・トラックのミュージック・ビデオ(MV)スポットやアーティスト写真などからもわかるように、道化師(ピエロ)に扮したASAGIの姿が象徴的に映る。
ここに描かれた世界は何なのか。カップリング曲を含めて、細かく中身を解読していくと、今ゆえに表現すべき必然性や歴史的なつながりも見えてくる。綿密に組み上げられたストーリーが生まれた背景、それを具現化するために挑んだ試みなどをじっくりと語ってもらった。

――特にシングルとして発表される音源で新鮮な驚きを感じることの多いDですが、また今回もそういった印象を抱く作品ですね。まずタイトルを見るだけで、なぜ道化師なのかと、誰もが考えると思います。このテーマ設定に向けては、どのような背景があったのですか?
ASAGI:2005年に発表した『The name of the ROSE』というアルバムに、サーカスをテーマにした「Art de la piste」「狂人舞踏譜」という曲があったんですね。その当時は、ピエロを恐ろしい悪役として描いていたんですけど、何かストーリーが広がっていきそうだなという思いは昔からあったんです。なぜこのタイミングだったかというと、これからDの根幹であるヴァンパイア・ストーリーを再び展開していくうえで、もう少し練る時間が欲しいなと思っていたところだったんです。そこで次のテーマを何にしようかなと思ったときに、前々から書きたかったこのテーマを書いてみようと思って。ただ、もっと言うと、これはSyndromeというDの前にやっていたバンドにまで遡るんです。そのときに書いた「CIRQUE -Art a part entier-」もサーカスをテーマにした曲で、実はそこからつながってるんですね。あえてそれまで書いていた悪役にスポットを当てて、その背景を描いてみようと。今回はBサイドと言いますか、ピエロ目線で書いてみたいなと思ったんですね。
――今の話だけでも、この曲にはいろんな伏線があったことがわかりますね。ちょうどSyndromeの名前が出てきたから言いますが、最後から2番目のサビには“Le cirque de soir”というフランス語の一節がある。これはSyndromeの作品のタイトルでもありますよね。
ASAGI:よく覚えていらっしゃいますね(笑)。一旦、ヴァンパイア・ストーリーを休止して何を書こうかなと思ったとき、ちょうどスタジオ(Studio Rosarium)の開設も同時に進めていたんですよ。そこで内装とかを考えていたときに、カーテンが何かサーカスっぽいなと思って、バーっとストーリーが一気につながってきたんですね。こんなふうに浮かんでくるのであれば、今こそやるべきだろうと。だから他の曲でも、このスタジオの中の小物からインスピレーションを受けたものをストーリーに取り込んだりもして。衣装のデザインとかもそこからヒントを得て、カーテンっぽくしたり、いろんな要素がちょうどタイミングよく重なって、生まれてきた感じはありますね。
――この曲のMVもStudio Rosariumで撮影されていますよね。
ASAGI:そうですね。『IT』という映画もありますけど、昔からピエロはすごく恐ろしいという印象があったんです。それを克服するために、Syndromeの「CIRQUE -Art a part entier-」もそうですし、「狂人舞踏譜」「Art de la piste」で自分の中の恐怖心と向き合うというか、そういった感じでサーカスという世界観を描いていたりもしたんですね。でも、今回はもっと突っ込んで向き合ってみようと。ピエロそのものになってみて、中にはいることによって、嫌なものを理解するというか(笑)。そこでストーリーを構築していったんですけど、そのことによって、恐怖が克服されるのかという、自分の中での闘いもあったんですね。
ここはMVでも表現してますけど、ピエロは少女をさらった恐ろしい存在としてまず描いているんです。でも、そこには理由があるんですね。実は少女が親から毎晩のように虐待を受けていた。ピエロは彼女を助け出すために、サーカス団員として連れ去っていた。
――曲で言うと、ちょうど2番の間奏後にその辺りの記述がありますね。
ASAGI:そうですね。アネモーヌというのは赤い花なんですけど、血の象徴として、少女の痣というものを花に例えて。
――ASAGIくんがピエロに対する恐怖心を克服しなければいけなかった理由は何なんですか? 怖いものなのだという受け止め方のままでもよいとも思えるんです。
ASAGI:何か自分の中で許せないんでしょうね、怖いものがあるということが。このピエロに限らず、様々な現実的なものだったりとかもそうですけど、何か克服して乗り越えていかなければいけない、逃げていてはいけない、そういう生き様みたいなものも反映されているのかなと思いますね。
――ただ、ピエロというものに対する、ある種の執着が潜在的にあるということですよね。
ASAGI:うん、トラウマ的なものがあるかもしれないですね。今回の「道化師のカタルシス」を作ったことで、乗り越えられた気がしますけど、実際に感情移入してみて、自分の中でのピエロ像というものも変わったんじゃないかな。それから、カタルシスというもの……歌詞にポボスとエレオスと出てきますけど、恐れと哀れみ、慈悲みたいな意味ですよね。サーカスに出てくる動物も、猛獣だから恐ろしいじゃないですか。空中芸などもハラハラしますよね。そういったサーカスに触れる中で、誰しもカタルシスというものが絶対に生まれていると思うんですが、そういったものを含めて、襲いかかるようなメタル・サウンド、ヴィジュアル、もちろん背景となるストーリーが融合するDの表現方法には、わりとポボスとエレオス、カタルシスというのがあるのかなと思うんですね。ヴァンパイア・ストーリーもそうですけど、たとえば、「闇より暗い慟哭のアカペラと薔薇より赤い情熱のアリア」とかも、仮面の下に隠れた醜さに、恐ろしさを感じながら、同時にかわいそうな気持ちも生まれ、心が洗われたような感覚にもなると思うんです。わりとそういった自己分析の中で生まれてきた楽曲というところもありますね。
――とすると、“道化師のカタルシス”とは何なのかとも思いますよね。ピエロが何を持ってカタルシスを得るのか。
ASAGI:はい。今回、闇のサーカスというのをテーマにしていますが、この道化師は、恐ろしい人間の闇の部分、少女を救い出すという慈悲の部分と両方を兼ね備えたところがある。その意味で言えば、かわいそうな子どもたちを救い出すことによって、道化師自身もカタルシスが生まれているのかなって。自分自身もそういうところがあると思うんですね。わりと人間の闇を描く楽曲は多いですけど、やっぱり人間そのものが嫌いなわけではない。すべての人間が悪なわけじゃないじゃないですからね。
――ここで描かれている悪意と善意については、見方によって変わってきますよね。道化師というのは、そういう生き物がいるわけではなく、メイクをして、衣装を着て、人間が演じるものでしょう? つまり、ASAGIくんが言うように、人間そのものを映し出していることになる。
ASAGI:そうですね。どこか自分と道化師を重ねている部分もあるかもしれませんね。今作(「オーガを喰らった牡猫の奇術師」)の中で「感情を殺して無様に笑うたび~」という歌詞が出てくるのですが、そういう経験も多いですから。それと今、そのお話が出たので、メイクするということ自体、化粧をしてライヴをするというバンドですから、その意味でも自分たちは当てはまるじゃないですか。エンターテインメントとして、ステージに立つ以上は、何があっても、100%もしくはそれ以上のパフォーマンスでお客さんに感動を与えないといけない。仮にステージに登る前、降りてから何かあったとしても…実際活動していく上では色々なことがあるのですが、ステージ上ではそれを見せずに、仮面をかぶってライヴをする。でも、それは嘘を付いているわけではない。お客さんを楽しませたいという本心ゆえですから。
――つまり、いい意味で、道化を演じるということですよね。
ASAGI:はい。お客さんに最高のパフォーマンスを見せなきゃいけないというのは、嘘ではなく、事実なので。そういった部分でも自分と重ねたりしたのかなぁと、振り返ってみると思いますね。だからなるべく道化に徹しようとするのも悪いことじゃないんだなって最近考えるようになりました。もちろん、人間なので完璧は無理でしょうけど。
――歌詞の細かなところを伺いたいのですが、最初のAメロに<夜空に布を広げ金銀の糸を刺す>とありますが、この金銀というのはどんな意味合いなんですか?
ASAGI:天幕があると星空が見えないじゃないですか。なんですけど、サーカスの中にも宇宙が広がっているというか、中から見た天幕自体がキラキラした星空になっているイメージにしたいなと思って。
――その次に出てくる<鼠の王>とは?
ASAGI:今回、全曲を“闇のサーカス+童話”みたいな感じで描こうと思っていたんですね。ここでは『ハーメルンの笛吹き男』をこの「道化師のカタルシス」とミックスさせて、オリジナルの世界観を作りたかったんですよ。『ハーメルンの笛吹き男』には、男が笛を吹いて鼠を川に連れて行って溺れさせたみたいな話がありますが、僕が自分の物語を描くんだったら、動物をすごく大事にしたいですから、鼠を殺したくない。だから、この浅瀬に樹の枝をかけて、森の奥に連れて行ったというストーリーにしたんですね。自分ならではのエッセンスを加えていった感じですね。
――なるほど。それが判明すると、この時点でこの道化師は善良なことをしているのがわかりますね(笑)。
ASAGI:そうですね(笑)。なので、その後に子供たちを連れ去ったとされるハーメルンの笛吹き男自身が奇抜な格好をしているので、道化師が当時、そう呼ばれていたときもあったという感じをイメージしたくて。少女を救い出すということもそうですけど、動物もサーカスではムチを打たれたりすることが問題視されたりもするじゃないですか。この道化師は、そういった動物たちを助け出し、闇のサーカス団員にしていくんですが、そこではムチを打つこともなく、動物たちが自らすすんで楽しんで芸をする。そんな世界を作りたいなと思って。
――<街では銀貨を吝嗇した大人達が嘲笑う>というのは、人間の汚い部分をそのまま言い表していますね。
ASAGI:そう。『ハーメルンの笛吹き男』の原作では、街の人たちは、鼠を街から追い出してくれたら報酬をあげると約束しますが、追い出したら追い出したで、払わない。そこで子供が連れ去られるという話になるんですが、そういう人間の闇を描きつつというところですね。
――この道化師は、そういう人間社会の不条理や糾弾したくなるような出来事を眺めてきて、いつの日か、禍々しい世界を転覆する、自らの理想社会を作ろうという気持ちでいるのでしょうか?
ASAGI:これはパラレルワールド的なものなんです。そういう不幸な子供や動物たちが救われる世界を、自分が描くのであれば作りたいなと思うんです。その意味では、自分の理想でもあるかもしれないですね。様々に生きていく中で、こうだったらいいのにな、ああだったらいいのになって思うことが、そのまま世界観に表れてくるというか。だから鼠も殺したくなかったし、自由にサーカスを楽しめる、動物たちがムチを打たれなくても楽しめる世界もそう。それを僕の世界観として成立させたかったですし、実際に今回の楽曲に表れていると思うんですね。
――最後から2番目のサビに<一番星が煌めく時>に<闇のサーカスが現れる>とありますが、これはどう捉えればいいんでしょう?
ASAGI:まさに神出鬼没というか、この道化師が団長を務める闇のサーカス団がいつの間にか現れる、迎えに来るという感じですね。なので、少女を連れ去るシーンをMVで描いているんですけど、サーカス、そしてその舞台に連れて行ったイメージなんですね。実際、「Art de la piste」に<箱の中で消え行く君の悲鳴>という歌詞があるんですけど、その箱の中がパラレルワールドにつながっていて、その舞台の上で少女が消え去る。裏切った街の人とかもサーカスに招き入れていて、そこで感じる恐怖なども表現したかったんです。ストーリー的には、その少女のことが好きだった少年も出てくるんですけど、彼はそのサーカスを見ていて、大人になってその少女を救い出す。そこで少年は恐ろしいピエロに命がけで立ち向かい、少女を救い出すんですけど、今まではピエロを箱の中に閉じ込めて倒したことになっていたんです。でも、そこは実はパラレルワールドにつながっていて、ピエロは倒されてはいなかった。少年の命がけで救い出したいという思いを感じて、少女を闇のサーカス団から少年に返してあげた、現実世界に戻してあげた。
本当に愛している人がいるのであれば、やっぱり、恐ろしいものと立ち向かうぐらいの勇気がないと、その人のことを一生幸せにはできないと思うんですよ。そういった観点からすれば、現実社会の中でも、いろいろ当てはめられるのかなと思うんですね。自分を犠牲にできるのか、命をかけて守れるのか。恐怖と立ち向かえるのか。なので、その少年の真実の愛を確かめるために、ピエロは恐ろしく演じていた。「狂人舞踏譜」の中に<ナイフを並べ>といった歌詞が出てくるんですけど、決してその少年を殺そうとしていたわけではなくて、試していたんです。だから、今回の「道化師のカタルシス」のMVでもナイフを登場させているんですね。話が逸れますけど、あれは本物のナイフなんですよ。だから正直、扱いが怖かったですね。ちょっと触れると切れてしまう。たとえば、カメラに映ったときの恐怖感や緊張感みたいなものって、本物じゃないとダメだなというのもあったりするんですよね。
――それは本物の刀などを手にしたことのある人なら、感覚的によくわかる話だと思います。最後に出てくる<魔笛と共に消えて行く>という箇所は、創作したストーリーの締め括りとして上手く結びついていきますね。
ASAGI:そうですね。この最後の繰り返しのフレーズは、作曲の時点では出てきてなかったんですけど、歌詞を書いている中で、<魔笛と共に消えて行く>というフレーズで締めくくりたいなと思って、最終的に笛で始まるようにしたり、最後の最後で歌詞と一緒にブラッシュ・アップした部分もありますね。
――ここはカップリング曲の「ミシュマシュ」にもつながってくるんですよね。
ASAGI:そうですね。今回はこの3曲ともつながっていってる感じですね。
――歌詞をよく眺めてもらうと、この3曲のレトリックが見えてきますね。レコーディングに際して、ASAGIくんはメンバーにどのような話をしたんですか? もちろん、ストーリーなどの説明はあると思いますが。
ASAGI:そうですね。ストーリーはいつものように歌詞と一緒に伝えて。楽曲的には……闇のサーカスというワードから生まれた始まり方だったので、そこからバンド・インしてサビに行くに当たって、襲いかかるようなイメージを表現するうえで、わりと速いリズムを取り入れてみたり。あとは不可思議な感じですよね。その意味で特にこだわったのは、ギター・フレーズですかね。いつもだったら、ずっとミュートをして刻みで行くようなところを、あえて単音にしてみたり、ピッキング・ハーモニクスについてもいつもより細かく詰めていって。そういった話をしましたね。
――シンセサイザーの音が普段よりも大きく鳴っている気もしますね。
ASAGI:そうですね。最初のミックスではシンセは結構小さかったんですよ。でも、それではイメージしていた景色が見えてこなくて、最終的に上げていったんですね。今回の世界観に適したバランスになっていると思います。
――ギター・チームとしてはどのように臨んだんですか?
Ruiza:ASAGIくんが話したとおり、楽曲のつながりもそうですし、なるほどと思うことばかりでしたね。闇のサーカス団という話が出てきますけど、昔、サーカスを観に行ったことがあったので、そのときに感じた気持ちとかも思い出したりして。確かにワクワクするんですけど、怖さを感じる部分ってあるじゃないですか。そういった表裏一体の気持ちを音に表したいなと思ったし、だからこそ、ソリッドな部分とキレイに聴かせる部分の聴かせ方は考えましたね。たとえば、サビとかのフレーズで、キレイにコードを聴かせたいというところもあれば、16分でしっかりと鋭さを出したいと思うところだったり、そういうメリハリは闇のサーカス団に合ってるんじゃないかなぁと思います。ギター・リフやフレーズのニュアンスとかも、自分だったら思いつかないようなものだったり、ASAGI君からアドバイスももらいました。だから新鮮で驚きもたくさんあったんですけど、仕上がりを聴いて、やっぱり凄いなぁと思いましたね。
HIDE-ZOU:ASAGIさんからテーマを聞いたときに、既存曲の「Art de la piste」と「狂人舞踏譜」、あとはSyndromeの曲だったりがあったので、イメージがさらに深く入ってきましたね。僕もサーカスを観に行ったことがあるんですけど、現実離れした空間に入ったときの感動というか、ゾクゾク感って、大事だなと思うんですよ。そういった部分を音にも表すわけですけど、ASAGIさんからいろんなアドバイスを受けながら、なるほどなと思った部分もあるし、こういう形になって、今回の楽曲の奇怪さが出せたなぁとすごく感動しましたね。
――間奏はRuizaくんが弾いているそうですが、このフレーズもASAGIくんが作ったデモの段階からあったものなんですか?
Ruiza:ギター・ソロのフレーズ自体は自分で考えたんですけど、やっぱりサビのフレーズを活かしたいなと思いましたね。最初のサビの印象がすごく強かったので。サーカスを見ているときもそうですけど、昂揚感が欲しいなと思ったんですよ。だから、ただマイナー(スケール)で弾くようなものではなく、飛ぶ感じといいますか、並んでない感じといいますか、高い音から低い音にいったり、妖しさだったり、いろんな感じが出せたらいいなと思いました。
――それは何が起こるかわからない、サーカスの魅力にもつながってくるんでしょうね。ドラムは各場面に合わせたリズムの作り方にかなり力を注いだように感じますが、何気にすごくヴァリエーションがあるんですよね。
HIROKI:そうですね。ASAGIくんからデモをもらったときに、やっぱり最初のゼロサビのスタートの爆発的なツーバスの頭打ちのフレーズですよね。これがすごいインパクトがあったので全力で表現をさせてもらいました。それから冒頭のマーチング・ドラムなんですけど、これもASAGIくんのアイデアで、マーチング用の深胴のスネアと自分のレコーディング用のスネアの両方で録って。さっきおっしゃっていただいた、ビートのヴァリエーションも、場面場面によって展開がパツパツと途切れた感じにならないように、流れるようなフレーズになるように自分なりのアレンジをさせてもらいました。
――サビの後ろでブラストビートのように聞こえてくるスネアの音もありますね。
HIROKI:ツーバスの頭打ちなので、同時に鳴っている部分が多いので、そういう印象にはなってるんですけど。自分もこの奏法はやったことがなかったんですよ。縦のパワー感、力強さがあって、かつインパクトがあるので凄くやり甲斐がありましたね。
――すごく追い込み感が出るドラムですね。ベース・ラインも特にサビの後ろなどは印象的で。
Tsunehito:そうですね。あのサビのデットッ・デットってフレーズは、ASAGIさんからこういうふうにしたいという話が最初からあって。速い部分からそこに切り替わったりするところの、ノリの繋がり感じみたいなものはすごく意識しながらレコーディングしましたし、音の運びと音符の位置みたいなものも、デットッ・デダダダとやるか、デットッ・デットデとやるか…どう組み立てていくかというのも、すごく考えたんですよ。昂揚する感じというかドキドキする感じみたいなのって、一番どこがハマるのかなぁって。プロデューサーの岡野さんにも、1音1音の長さみたいなものは、どれぐらいまで切るほうがいいのかと相談したりして。岡野さんによればデットッデットっていうのは、マーチング・フレーズというものだから、歯切れよくいったほうがいいだろうと。
 ドラムのそのサビの速い部分のところも、16分でいくのではなく、最終的には岡野さんとノリの話を相談して、4分と8分……すごくゆっくり刻んでいるんですよね。でも、それも、ただデーデーデーデーと弾くのではなく、音符で表現しきれない長さというか、微妙に区切ってて。低音の続く感じというか、ドラムが連打しているところでベースがきちんと低音を切ってノリを作ることによって、ドキドキする感じとかにつながるんだなというのは、すごく勉強になりましたね。それにチューニングが低いので、弾き方も試しながら……いつもだったらアタッキーに音の粒が立つように弾くことが多いんですけど、今回は速い曲としては、今までで一番ソフトに弾いて。後でドラムやギターの音作りが決まったときにもバランスがいい感じになるように弾けましたね。
――この音使いがあるからこそ、いい意味で流れていかない、不気味な空気感も出ていると思いますし。
Tsunehito:サーカスの景色が見えるようにという話ももらってましたし、そのためのフレーズ、音作りはすごく勉強になりました。
――歌そのものは、「道化師のカタルシス」だからこその取り組み方もありました?
ASAGI:たとえば<消えて行く>の<く>の部分とかは、怖さとかちょっと不気味さみたいなものを出すために、ヴィブラートをかけながらだんだん音程を落としていったりしてるんですよね。今の時代、(録音された歌が)機械的なものが多かったりするので、肉声的にしか表現できないものをやりたかったし。世界観とストーリーによって歌い方とか声色とかを全部使い分けているんですが、この歌い方は、ほぼSyndromeの「CIRQUE -Art a part entier-」や、Dの「Art de la piste」以来でしょうね。
――カラオケで歌う人はそこに注意しながら歌うと高得点が狙えますね(笑)。機械的なものが多いという話がありましたが、最近のレコーディングでは、歌に関しても、ヴィブラートのかけ方にまで修正を施すケースが少なくないですから、そこには依存しないシンガーのこだわりが見えてきますね。カップリングの「オーガを喰らった牡猫の奇術師」は……『長靴をはいた猫』をモチーフに創作されたストーリーですか?
ASAGI:まさにそうですね。闇のサーカス+童話というところでやっていきたかったんですよ。シンセフレーズとかも、もともと猫をイメージしたようなものとかやりたいなと思ってたんですよ。オリジナルの童話は、『長靴をはいた猫』の主人がお金持ちになってというところで終わってますけど、それを考えたときに、猫のおかげでお金持ちになったという話ですよね、結局のところ。主人はすごくいいヤツに描かれていますけど、果たして他人の力でお金持ちになって、そのままいいヤツでいられるのかどうかと考えたときに、おそらく変わってしまうだろうなと思ったんですよ。じゃあ、今回は闇のサーカスがテーマですし、闇という部分に焦点を当てて、原作のその先を描こうと思ったんですよね。そこで、変わってしまった主人を見て、長靴をはいた猫はまた新たな旅に出るという物語にしたんです。主人からもらった長靴は捨てて、猫はもう一度裸足で旅に出る。その旅先で闇のサーカス団と出会うんです。
――後半に進んでいくと、サーカス団が登場してきて、なるほど、「道化師のカタルシス」とつながっているんだなと、驚きながら納得させられる。
ASAGI:そうそう。実は原作の中で、一つだけ僕が引っかかっていたことがあるんですよ。それがキッカケでこのオリジナル・ストーリーが生まれたんですけど、遺産相続の際にこの主人が「猫の皮を剥いで手袋にしようか」みたいなセリフがあるんですね。自分のペットを道具にしようと、そんなことを考えるヤツが、富を得て、いい人のまま終わるわけがないですよね。そこから広がっていった部分はあります。
――こいつは奈落に落とさねばと(笑)。
ASAGI:ははは(笑)。あとは、さっきスタジオのカーテンからもインスピレーションを受けたって話をしましたけど、この曲はスタジオにある回転木馬の小さいミニチュアからインスピレーションを受けたんですね。この回転木馬には動物が乗っていて、数えてみたら12匹だったんです。それぞれの動物が1月、2月という割り振りの担当だったとしたら、12ヶ月、つまり1年ですよね。Dには「13月の夢見丘」という曲があるんですが、それも自分の理想を世界観として描いているものなんです。聖書では人間の楽園はあるけれども、死んでしまった動物の楽園は描かれていない。ただ、もし神に届くならば、動物たちの楽園もあって欲しいというのが自分の願いでもある。そういった自分の思いを形にするために、「13月の夢見丘」ができたんですけど、そこに向かうための何かが欲しいなと思ったときに、動物たちの魂が、12ヶ月の自分の生まれた月の回転木馬に乗って、光の中で13月の夢見丘に行く光景が思い浮かんで。その番人を長靴を履いた猫が担っていて、動物たちを13月の夢見丘に運ぶための大事な仕事をしているというふうにしたいなと思って。
 それが<回転木馬(カルーセル)に預け夢見る丘へ運ぶ>というサビの一節になるんですけど、スタジオにある回転木馬には、小さいおじさんが一人張り付いてるんですよ(笑)。この人はなぜいるんだろうなと思ったときに<資格もなく鞍にしがみ付いた人間(もの)は振り落とされてしまう>というストーリーが浮かんできて。13月の夢見丘という美しい動物の楽園に自分も行きたいと思って、しがみついた人間ですね。「CIRQUE -Art a part entier-」にも<高速のメリーゴーランド>という歌詞が出てくるんですけど、高速で回って光になり、その中に動物が消えて、13月の夢見丘に行くというふうに美しくも描けるし、そこで愚かな人間が振り落とされるという場面も描ける。それをこの曲にとりいれましたね。実はそこを表現するために、最後の最後で構成も変えたんですよ。高速で回っているメリーゴーランドを表現するために、サビの後のギター・ソロの前の間奏のフレーズが浮かんだんですけど……。
――まさに回転していますよね。
ASAGI:そうそう。そのストーリーの歌詞を構築していく中で、構成を変えないとこの表現がどうしてもできなかったんですよ。もともとは一回目のサビが来た後にすぐに間奏が入ってたんですよ。でも、<この靴は襤褸(ぼろ)さ>の後にそれが来ても、景色が見えないんです。
――そうですね。確かに回転木馬が登場した後に間奏を持ち込むことで、そのフレージングからストーリーがつながってくる。
ASAGI:そうなんですよね。なので、このストーリーの中では、座長の口が裂けるという歌詞がありますけど、そこは座長が真実を見抜いた上での怒りの表現です。動物たちは虐待によって死んでしまったのに、飼い主はその理由を事故にしたり、嘘をついていた。でも、見抜かれてもしまっている。自分も寿命が短いから一緒に行こうとしたところで振り落とされてしまうんです。
――ギター・ソロに始まり、その後、ベース、ドラム単体のフレーズになっていくところも、人間が振り落とされていく、一つ一つの悪事があからさまになっていく様を表現しているようにも思えますね。
ASAGI:そうですね。だから曲自体はシリアスなんだけど、落ちていく様子とかも含めて、不可思議な感じにしたかったんですよね。
――そして、最後の最後で<世界中に散ったグリムの血を引く者を>という一節が出てきて、また他の曲への広がりも予感させる。
ASAGI:おっしゃるとおりで(笑)。そこでまだまだ世界観が広がりそうだなと思ったので、何か最後にそれを見せるようなワン・フレーズを残しておきたいなと思ったんですね。物語の中では、かわいそうな動物もそうですし、このピエロも悲しみも背負っている。なぜそういうものを生んでしまったのか、そういったものを探す旅に出るといった意味合いなんですけど、そこはトゥビーコンティニュードみたいな感じで(笑)、謎を残したままにしておこうかなと。
――ASAGI流グリム外伝というのも、今後の一つのプロジェクトとしてありなんじゃないかと思わされますね。
ASAGI:そうですね(笑)。僕がやると、恐ろしい童話みたいになるんじゃないですかね(笑)。でも、実際にすごく広がるだろうなと思ってて。だから、何年後になるかわからないですけど……今回も14年ぐらい経ってるので(笑)、いつか何かやれそうな気はしていますね。
――「オーガを喰らった牡猫の奇術師」は左右にパンされたリフから始まりますし、ギターで引っ張っていくような曲でもありますよね。
HIDE-ZOU:このイントロもそうなんですけど、かなりアグレッシブというか、ガンガン行く感じですよね。全体的にもライヴ感がすごくあると思うんです。ギター・リフにはASAGIさんのすごいこだわりがあって。最初のステレオ感にしても、まずどちらが先にギターを弾くかということもそうなんですよ。それによって雰囲気が変わってきますしね。今回、単音主体でこの曲のリフを弾いてますけど、それによって見えた部分もあるんですよね。固定観念をいい意味で壊してもらったというか。これもありなんだなって、可能性がすごく広がって。リフの在り方を考えさせられた曲でしたね。それと、僕は『長靴をはいた猫』の内容がすごく好きなんですよ。小さい頃とか、演劇とかで観たりもして。でも、その頃って意味があまりわからずに楽しんでいたんですよね。でも、大人になってみると、今回のASAGIさんのような視点はかなり感動でしたし、重要なところを突いているなと思いましたね。
――『長靴をはいた猫』はアニメ化もされていますが、この曲に描かれた物語には、ものすごいギャップを感じるかもしれませんね。
HIDE-ZOU:そこも面白みになると思うんですよね。童話って、本来的な意味を辿るのも好きなんですんですけど、一般的に小さな頃に親しんでいた内容とは解釈が変わってきたりもする。ただ、ASAGIさんの描いたオリジナル・ストーリーには希望があるんですよね。
――いい戒めの話として響くかもしれませんね。
ASAGI:僕はどちらかというと大人向けの童話というふうに思ってるんですけど、改めて大人になってから見直すことによって、見えてくることがあるんですよね。
Ruiza:僕もすごく好きな曲の一つですね。回転木馬のイメージはすごく伝わってきますし、間奏もまさにそれを表していると思うし、さすがだなと思いましたし。ASAGIくんの回転木馬の話は、実際にここであの回転木馬のミニチュアを見ながら聞いたんですよ。だから、すごく想像もできましたし、まさにその場で見ているもののように思えましたし。完成したものを改めて聴くと、むちゃくちゃ迫力もあり、面白さも感じるんですよね。物語が途中で終わっているというのも、謎めいている感じがまた刺さってきますよね。
HIROKI:回転木馬のイメージがあり、曲の速さ的にもミドル・テンポだったので、ドラムに関しては、変に音数を増やすのではなく、グルーヴィに縦を感じられるようにアレンジしたいなと思っていたんですね。回転木馬がゆっくりと縦に動く様子が想像できたので、円を感じるように、そういったグルーヴを最重要視しながら、音をつなげるというところ……テンポ感的に、ここが意外と難しいんですけど、リズムのタイトさを意識してレコーディングしましたね。グルーヴを感じさせるテイクは、大人ならではのプレイというのはありますし、その点でのやり甲斐も感じられて。展開についても、さっきASAGIくんが言ったように変更がありましたけど、そこもストーリーに対しての流れに合っていて、すごくまとまりのある楽曲に収まりましたね。
Tsunehito:すごく攻める曲なので、グルーヴだったり含めてそれをどのようにベースで表現できるかを意識して取り組みましたね。テンポ感的に、自分のテンションによって走り気味になったり1音1音の間隔が狭まりがちになってしまうので、いいノリを出すために、音の伸ばし具合、低音の出し方だったりみたいなものを、いろいろ試しながらやってましたね。スリリングな曲なので、その辺も殺さないように、ミドルでヘヴィな感じの中でスピード感が出せるようにというのは気をつけましたし。やっぱり歌詞とストーリーを読んでみると、人が変わってしまうというものだったり、何かを犯した罪だったり、悪いことから逃れようとしてしがみつくことだったり、そういうところでもヘヴィな楽曲だなと感じますよね。回転木馬にしても、キラキラしたイメージが自分にはあったんですけど、だからこそ対比も際立って、より人間のドロッとした部分がヘヴィに響く曲だなと感じながらレコーディングしましたね。
ASAGI:曲の始まり方も、サーカスをイメージしたドラム・ロール的なものなんですよね。多分、このテーマじゃなければ普通にギターから始まってたと思うんですけど、この曲だからこその始まり方にしたいなと思ったんですよね。
――そして「ミシュマシュ」は、冒頭からブレーメンと出てくるとおり、『ブレーメンの音楽隊』が元になったストーリーですね。寄せ集めを意味するドイツ語のタイトルがまず象徴的ですが、これは『不思議の国のアリス』の作者でもあるルイス・キャロルにちなんだ言葉でもあるんですよね?
ASAGI:そうなんですか? それは偶然ですね。
――ルイス・キャロルが家族に向けて作った小冊子のタイトルがミシュマシュなんだそうです。
ASAGI:なるほど、それは知らなかったので偶然ですね。寄せ集めというタイトルにしたいなと思ったときに、ドイツ語で調べていたら、ミシュマシュってかわいい響きだなと思ったんですね。感性が似てるのかもしれませんね。
――Dの楽曲には、しばしばそういった不思議な巡り合わせがありますよね。さて、この曲のストーリーに関しては?
ASAGI:『ブレーメンの音楽隊』のその先を描いたものですね。動物たちは、余生を森で過ごしたということになってるんですけど、そこに闇のサーカス団が通りかかって、ミシュマシュ、つまり、4匹の動物たちが奏でる音楽に共鳴した座長(道化師)が、お抱え楽団としてスカウトする。旅をしながら仲間が増えていくんですが、ここでは闇のサーカス団に加わるところまでを描いてます。もちろん原作の始まりから描いているんですけど、そこから自分なりのストーリーにつながっていく。
――ええ。闇のサーカス団に加わるという設定が興味深いですが、闇のサーカス団は、なにゆえに存在し続けているのかと考えると、また想像も膨らみますね。というのは、人間に酷使されていた動物たちは、そこから逃げ出して、自分たちの新たな生活を森の中で始めた。ただ、サーカスは誰かに見せるのが前提のものですよね。とすると、この闇のサーカス団は、動物たちの世界だけで完結するのか、人間に見せつけて改心させるものになるのか、さらにこの先の物語まで気になってくる。
ASAGI:なるほど。闇のサーカス団には、子供たちもいるんですよね。ただ、時間の流れが違うという世界観を設定している。だから、ミシュマシュだったら、年老いた動物たちなので、寿命が切れるギリギリのところで闇のサーカス団に入るんですが、時間の流れがゆっくりだから、まだ生きることができる。当然、子供たちもそう。少年が助けたときも、少女は少しは成長しているんですけど、やっぱり時間の流れが違うわけです。そんな不思議な世界を描いているんですね。だから、そこで何を訴えているかというと、サーカスは各地で興行を行いますが、そこにはもしかしたら捨てた飼い主たちも観客として来ているかもしれない。そこで何が起こるかはわからないけど、いろんなストーリーが広がっていけばいいなというのはありますね。
Tsunehito:歌詞とかストーリーとかすべてを合わせて、この曲はしっとりしてるんですけど、さっきとまた違うヘヴィな響きをものすごく感じましたね。命を燃やしていく、そういったものも考えさせられますし……。そういった内容を踏まえながら、ラストに向かって曲はドラマティックに進んでいくので、場面的にどうやってベースで変化をつけていくかは、いろいろ考えましたね。結果、シンプルめに繰り返していくほうが、この曲には合ってるんじゃないかなって。そして最後に一気に盛り上がるというか開けるというか。それが上手くできたかなと思います。
HIROKI:リズム的にポイントになるのは、まず3拍子進行というところですね。前半はマーチング部分があり、Bメロはビートで食らいついていく感じですけど、Bメロはスネアの位置が3拍子とはまた違う、流れる感じにしているんですね。そういった部分で、3拍子の捉え方に対して、アプローチが上手くできたかなというのはありますし、そこから後半に向けての場面展開……A、Bは結構動いているフレーズですけど、最後はもうビートで大きく、エンディングに向かっていく感じが上手く出せたかなと。やっぱり、これも曲が速くないので、音の重み、プラス、ノリを出すというところの難しさはあるんですけど、だからこそ、シンプルな中でカッコよく聴かせる部分を上手く消化できたんじゃないかな。
――抑えつつ、とはいえ、静かにゆったりと進むわけではない。その巧みさがリズム・セクションで表現されていますよね。最後のギター・ソロはまさに情感や光景を見据えたものと言えそうですね。
Ruiza:そうですね。だんだん仲間が増えて進んでいく……元になる、Aメロ、Bメロの雰囲気とサビの差が大きかったので、そこを上手く引き継ぐギターが弾けたらいいなと。スロー・テンポで途中にリットが入ったりして難しかったんですけど、どう引き算をどうするかとか、シンセとの兼ね合いをどうしようかとか、ASAGIくんの話を思い出しながら考えましたね。この先、この物語はどうなるのかなと、そんな気持ちも踏まえながら弾きました。最後は歌で終わりますけど、そこも余韻を残しますからね。
HIDE-ZOU:HIROKIさんからも話に出た3拍子ですけど、ギターもその心地よさを意識してフレーズを作ったり弾いたりしたんですね。ただ、たとえば最初のクリーン・トーンでも、2人で結構弾き切ってる部分がありますけど、シンセもあるし、この曲のスケールを考えたとき、どの位置にギターがいたらいいのか、どういうアプローチをしたらいいのか、そこはなかなか難しいところでしたね。岡野さんに相談する中で、わりとシンセに忠実にユニゾンしてみたり、かたやコードを弾いたり、単音を弾いたり、結果的にはこの曲ならではといえる、今まで弾いたことのないような雰囲気のものが弾けた実感がありますね。クリーン・トーンをライヴで響かせる心地よさについては、もっと追究していきたいなと思いましたね。今回はそこが要になってくると思いますし。
―それは今までもやってきたことではないのですか?
HIDE-ZOU:そうなんですけど、今までは今回ほど、そこまでシンセに影響をされるフレーズってあまりなかったんですよ。その意味では、いろいろサウンド作りを新たに考えないといけないですし、この曲に関して言えば、3拍子を活かした聴かせ方というのもあると思うんですね。構成も独特なので、ライヴでも空気感が大事になってきますからね。
――ライヴのときに、どういう演出で見せるのかなとか、いろいろと想像が膨らみますね。
ASAGI:そうですね。今回、ヴォーカルのポイントとして、驢馬(ロバ)、猟犬、猫、雄鶏と出てきますけど、それぞれの動物のイメージの声を入れてるんですよ。たとえば、<ブレーメンへ行こう>というところで、年老いたロバだったら、ロバのブルブルっていう声だったり、犬だったら、ワンっていってみたり、猫は得意…で、鶏だったら、コケコッコーってやってみたり、レコーディングも楽しくやってましたね(笑)。まぁ、それをライヴでどうするのかという話にもなりますけど(笑)、ミュージカル的な演出で言えば、それぞれ歌いながら出てくるイメージはあるんですけどね。だから、「道化師のカタルシス」のMVには鼠の王が出てきますけど、もし「ミシュマシュ」も撮るなら、動物が出てくるでしょうね。
 曲のアレンジについてもう一つ言うと、<終点に辿り着く>というところでテンポを落としてリットしていくんですよね。ここは人生という列車がゆっくり停まるようなイメージとリンクさせましたね。そこで停まりそうになったときに、闇のサーカス団が現れる。そこは景色が見えたなぁと、表現していても楽しかったですね。
――インストゥルメンタルの「アンフィテアトルムはクロワッサンの夜に」はどういう位置づけになるんですか?
ASAGI:Tsuneが作ってきたんですけど、デモを聴いたときに、サーカス小屋の上に輝く三日月が思い浮かんで、そういうタイトルにしたんですね。
Tsunehito:サーカスっぽいイメージの音使いだったり、シンセをいっぱい詰め込んで、ドキドキする感じはすごく考えましたね。各楽器のソロパートはそれぞれに任せたんですけど、シンセからの曲始まりとか曲全体の形は最初の時点であったんですが、頭からグッと掴む感じにしよう、ってASAGIさんからお話もあってイントロのテーマとか調節してもらって。まさに闇のサーカス団という怪しい感じもありつつ、少し軽快な音使いもあったりして、いい曲になったと思います。
――「道化師のカタルシス」を思わせるベース・フレーズも出てくるところが、またこだわりの演出ですね。この楽曲も含めて、ステージでどのように再現されるのか楽しみになりますが、7月17日の神奈川・新横浜NEW SIDE BEACH!!公演から、8月29日の東京・赤羽ReNY alpha公演まで続く全国ツアー『D TOUR 2019「道化師のカタルシス」』も間もなく始まります。そこに臨む現在の気持ちも聞かせてください。
HIDE-ZOU:ヴァンパイアストーリーとまた違ったテーマを掲げてツアーになるので、ヴィジュアル面でもまた新鮮なステージになるかと思いますので共に盛り上げていきたいと思います!今回、より一層洗練されたDのライブを魅せられるようにしっかりやっていきたいと思います。各地に音と感動を届けに行きます!
Ruiza:とても楽しみですね!「道化師のカタルシス」の楽曲をしっかり表現して、しっかりと届けたいと思います。関連曲や既存曲との絡みも楽しんでもらえると思うので、どの土地のライブもとても楽しみです!一本一本大切に、ファイナルまで走り抜けたいと思います!是非集まってください!
HIROKI:闇のサーカスというテーマから、今回の作品と今までの既存曲との繋がりも含め、そういった所も楽しみにしてもらいたいですし、さらに洗練されたプレイと今作品の世界観を体感してもらいたいと思っていますので期待していて欲しいですね!
Tsunehito:新しいテーマを全国で繰り広げられるというのは嬉しいですし、ステージで披露して曲が育っていく感覚っていうのも楽しみなんですよね。「今のD」を存分に感じてもらえるように気合い入れて頑張ります。あとルイザさんヒロキさんの地元も行きますし、ファイナルは浅葱さんの誕生日当日なので、思いっきり楽しんでいきましょう!
ASAGI:次にいつ現れるかわからないのがこの闇のサーカス団です。今しか見れないのはもちろんだし、今しか感じれないことってきっとあると思うんですよね。毎日を懸命に生きていく人生の中で、音楽で少しでも彩ることができれば嬉しいですし、カタルシスを感じられるようなライヴにしたいと思います。是非会場に足を運んでください。

TEXT : 土屋京輔 


2019.07.10 Release
「道化師のカタルシス」 CD+DVD(TYPE-A)※豪華ブックレット仕様
YICQ-10416/B/¥2,400(本体価格)+税
[Disc-1](CD)
1.道化師のカタルシス/2.オーガを喰らった牡猫(ねこ)の奇術師/3.アンフィテアトルムはクロワッサンの夜に(Instrumental)
[Disc-2](DVD)
1.道化師のカタルシス(Music Video)/2.道化師のカタルシス(Music Video Making)
「道化師のカタルシス」 CD(TYPE-B)
YICQ-10417/価格:¥1,500(本体価格)+税
1.道化師のカタルシス/2.オーガを喰らった牡猫(ねこ)の奇術師/3.ミシュマシュ/4.道化師のカタルシス(Instrumental)
【初回特典(封入)】トレーディングカード(全7種中1種ランダム封入)

>>試聴ページ
※こちらは試聴版として音声データを圧縮しております。製品版はさらにハイクオリティーな音質にてご視聴いただけます。

●「道化師のカタルシス」MV SPOT
●全曲試聴動画
※こちらは試聴版としてデータを圧縮しております。製品版はさらにハイクオリティーな画質・音質にてご視聴いただけます。

◆「道化師のカタルシス」 発売記念インストアイベント
<埼玉県> 7/12(金) HMV 大宮アルシェ
「私服ジャケットサイン+握手会(私服での実施となります)」イベント開始20:30~

<東京都> 7/14(日) SHIBUYA TSUTAYA
「私服2ショットチェキ or 私服6ショットチェキ撮影会」イベント開始14:00~

<東京都> 7/14(日) タワーレコード池袋店
「トーク & 衣装2ショットチェキ or 衣装6ショットチェキ撮影会」イベント開始18:00~

<東京都> 7/15(月・祝) littleHEARTS.新宿店
「トーク+私服2ショットチェキ or 私服6ショットチェキ撮影会」イベント開始14:00~

<東京都> 7/15(月・祝) タワーレコード 新宿店
「トーク+衣装2ショットチェキ or 衣装6ショットチェキ撮影会」イベント開始18:00~

<広島県> 7/24(水) タワーレコード 広島店
「衣装2ショットチェキ or 衣装6ショットチェキ撮影会」イベント開始19:00~

<福岡県> 7/27(土) ミュージックプラザ・インドウ
「トーク+私服2ショットチェキ or 私服6ショットチェキ撮影会」イベント開始14:00~

<福岡県> 7/27(土) HMV & BOOKS HAKATA
「衣装2ショットチェキ or 衣装6ショットチェキ撮影会」イベント開始18:00~

<宮城県> 8/3(土) タワーレコード仙台パルコ店
「私服2ショットチェキ or 私服6ショットチェキ撮影会」イベント開始14:00~

<宮城県> 8/3(土) littleHEARTS.仙台店
「トーク+衣装2ショットチェキ or 衣装6ショットチェキ撮影会」イベント開始18:00~

<北海道> 8/6(火) HMV札幌ステラプレイス
「トーク+衣装2ショットチェキ or 衣装6ショットチェキ撮影会」イベント開始19:00~

<東京都> 8/18(日) HMVエソラ池袋
「ジャケットサイン or 私物サイン会(私服での実施となります)」イベント開始19:00~

<大阪府> 8/22(木) littleHEARTS.大阪店
「トーク+衣装2ショットチェキ or 衣装6ショットチェキ撮影会」イベント開始19:00~

<愛知県> 8/25(日) タワーレコード 名古屋近鉄パッセ店
「衣装2ショットチェキ or 衣装6ショットチェキ撮影会」イベント開始13:00~

<愛知県> 8/25(日) 名古屋fiveStars
「トーク+ジャケットサイン会(衣装での実施となります)」イベント開始17:00~


■特典会参加券発行対象商品について
2019年7月10日発売 シングル「道化師のカタルシス」
【CD+DVD】YICQ-10416/B ¥2,400(本体価格)+税
【CD】YICQ-10417 ¥1,500(本体価格)+税
※いずれの特典会も、対象商品全2形態(同形態は不可)を同時購入いただいた方に、参加券1枚をお渡しいたします。

【イベントに関するお問い合わせ】
問い合わせ先の記載のある会場は、各問い合わせ先へご連絡下さい。

【商品に関するお問い合わせ・その他お問い合わせ】
エイベックス・カスタマーサポート
https://ssl.avexnet.or.jp/form/ask/avexportal/
TEL : 0570-064-414 (対応時間 平日/11:00~18:00)
※システムメンテナンスの為、電話対応をお休みさせて頂く場合がございます。



※詳細、最新情報についてはD OFFICIAL WEB SITEをご確認下さい。

◆D TOUR 2019「道化師のカタルシス」


*一般チケット発売中!!*

7/17(水) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
7/19(金) 高崎club FLEEZ
7/25(木) 広島SECOND CRUTCH
7/26(金) 福岡DRUM SON
7/29(月) 神戸VARIT.
8/2(金) HEAVEN'S ROCKさいたま新都心VJ-3
8/4(日) 仙台CLUB JUNK BOX
8/7(水) 札幌cube garden
8/8(木) 札幌cube garden
8/11(日) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
8/12(月・祝) 金沢AZ
8/17(土) HEAVEN'S ROCK宇都宮 VJ-2
8/23(金) OSAKA MUSE
8/24(土) 名古屋ell. FITSALL

TOUR FINAL
8/29(木) 赤羽ReNY alpha
問:サイレン・エンタープライズ 03-3447-8822

【料金】
オールスタンディング前売¥5,000 (税込¥5,400/D別)
*8/29 (木) 赤羽ReNY alphaのみ前売¥5,500 (税込¥5,940/D別)
※3歳以上チケット必要



◆D Official Fan Club Ultimate lover限定「Ultimate lover ~第三十五夜~」ファン投票制LIVE
7/13 (土) 渋谷RUIDO K2
しろろの森 : 昼の部(静かな曲中心セットリスト)
くろろの森 : 夜の部(暴れ曲中心セットリスト)



◆D Official Fan Club Ultimate lover限定
HIROKI BIRTHDAY PARTY in Studio Rosaruim

7/20 (土) Studio Rosaruim
(一部:12:00~ 二部:18:00~)
7/21 (日) Studio Rosaruim
(一部:12:00~ 二部:18:00~)
※全日程、全メンバーが参加いたします。
>>特設サイト



◆D Official Fan Club Ultimate lover限定
ASAGI BIRTHDAY PARTY in Studio Rosaruim

8/30 (金) Studio Rosaruim
(一部:12:00~ 二部:18:00~)
8/31 (土) Studio Rosaruim
(一部:12:00~ 二部:18:00~)
※全日程、全メンバーが参加いたします。
>>特設サイト



【Rosen Kranz -Shop-/移転・リニューアルのお知らせ】
Rosen Kranz -Shop-が移転いたしました!
新URL : https://rosenkranz.shop-pro.jp/
移転に伴い大幅リニューアル、また従来のお支払方法に加えクレジットカード決済がご利用いただけるようになりました。
さらに、D Official Fan Club「Ultimate lover」会員のご継続、新規ご入会が、クレジットカード決済にてお申込みいただけるようになりました!
※従来の郵便振替でのお申込みも可能です。
ご継続=会員期限前にお送りしております振込用紙をお使いください。
新規ご入会=D Official Web Siteをご参照の上、お手続きください。
今後ともご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます!
Rosen Kranz
お問い合わせ/shop-rosenkranz@rosen-kranz.jp


◆「道化師のカタルシス」アー写撮影、MV撮影時サイン入りチェキセット通販受付中
5枚入り/お一人様3セットまで/ 数量限定
¥3,500 (tax in) / ARK-483

◆D 16th Anniversary Special Premium Live 
「Vampire story "7 Days force”」@Takadanobaba AREA 写真集発売決定

会場・通販限定販売

※会場販売 : 7/13 渋谷RUIDO K2「Ultimate lover ~第三十五夜~」より販売開始
※通信販売 : 7/15 よりRosen Kranzにて通販受付開始

・GOD CHILD RECORDS/ARK-484~491/(A4サイズ・フルカラー32P) 各¥2,500(税込)
★2019.4.29「Dahlie」
★2019.4.30「Wilderness」
★2019.5.1「Carbuncle」
★2019.5.2「Justice」
★2019.5.3「Rafaga」
★2019.5.4「Kircheis」
★2019.5.5「Dreizehn」

★数量限定BOXセット¥15,000(税込)/7冊セット収納BOX
※7/13会場物販にてBOXセットをご購入のお客様を対象に、ご希望のメンバー1名からサインを入れさせて頂きます。
特典会詳細、近日発表!



◆『D Tour 2018「Deadly sin」TOUR FINAL & D結成15周年 メジャー10周年Year Grand Final』豊洲 PIT公演のLIVE映像 各曲毎にリリース

●2018年12月21日に豊洲PITにて行なわれたD TOUR 2018「Deadly sin」Grand Finalの映像を各曲毎に販売開始!!
Dオンラインサロン "Sub Rosa" 入会ページのライブラリにてご購入いただけます。(サロン非会員も購入可能)
https://lounge.dmm.com/detail/1644/
https://lounge.dmm.com/detail/1645/

●映像サンプルとして「組曲「狂王」第四番 ~黒羊は忠誠の夢を見る~」をD official Youtubeチャンネルにて公開中
https://youtu.be/CnrjvnuNLAo

●SPOT映像公開
https://youtu.be/LmBb_LuWz_c



◆D official online salon 「Sub Rosa」 OPEN 入会受付中!
・D official online salon “VIP” Sub Rosa ~Royal castle
>>お申込みページ
※Very Important Person(FC会員のみ入会可能)
D official fan club「Ultimate lover」に入会されている方対象

・D official online salon “GA” Sub Rosa ~Secret garden~
>>お申込みページ
※General Admission(一般の方も入会可能)

Sub Rosa=秘密
オンラインサロンとは月額会員制のクローズド・コミニュティ。
Dとファンを繋ぐ秘密の花園への扉はまもなく開かれる。
鍵を手にした者だけに与えられる新たな世界は、これまでの常識を覆すことでしょう。
夢は現実に変わり、再び新たな夢が動き出す。
この春、我らは森の奥にある古城の中で円卓を囲み、Dという一輪の薔薇の下、永遠を誓い合うのです。



◆2019.6.8「Studio Rosarium」OPEN!オープン記念キャンペーン実施中・予約受付中!
GOD CHILD RECORDSが運営する撮影スタジオ兼レンタルスペース「Studio Rosarium」6月8日オープン。
オープン記念キャンペーン実施中・予約受付中!

詳細はこちら >>Studio Rosarium





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